2008/04/13

第6節:ヴェルディ1 vs 2東京



ダービーの日。

暦の上では「先負」。
「だから今日は先制した方が負ける」って言ったのはどこの誰だ? 座布団3枚くらい進呈して差し上げたい。

本当に、本当に極上のエンターテイメント。
TVでは絶対に味わえないと断言できるカタルシス。

だから東京はやめられない!




いつもと逆側の入場口は、個人的には味スタに来るときいつも通っている場所。
あそこにあんな開門待ちの長蛇の列ができていたのは、浦和以外で初めて見ました。(もっとも浦和は甲州街道沿いにスタジアムの敷地を半周くらいしてたので、それに比べたら全然「良識の範囲内」でしたが)
かく云う自分たちも何故か開門1時間ほど前に到着してしまい、待機列で既にビールを呷ったり何だり。


予告どおり、イケイケはアップから煽る煽る。

「味スタレンタル中」

なんていう超秀逸なゲーフラが掲げられていましたが、それも当然でしょうか。
アウェイ側ゴール裏は見る見るうちに2回まで埋まっていて、バックスタンドも半分からこちら側が圧倒的に出足が早い。



「We are HOME」「REAL TOKYO」なんて謳ってはいましたが、どんなに贔屓目で見ても半々よりこっちがちょっと多いくらいなんだから、どっちがホームなのか小学生でも解る話。
いい加減集客面では身の丈にあった戦略を考え実行したほうがいいのでは。なんて要らぬ心配さえしてしまいます。


川崎のチームを煽りに煽り、塩田に割れんばかりの声援を浴びせ、立川市長に盛大なるブーイングをお見舞いして試合開始。

もちろんこの試合に望むにあたり、最大の命題は「フッキに以下に気持ちよくプレーさせないか」ということ。
東京の選手たちは、押し込まれながらもよくそれを実行できていました。
長友はフッキに果敢に挑んで危ない場面を作らせなかったし、今野は福西に(絶対にあれは故意だと思う)裏拳を入れられながらも粘り強く相手を潰す。
主審の笛が細かくて試合が細切れになってしまいましたが、押し込まれながらも危ない場面はあまりなかったように思います。

そしてもちろんDFラインはみんな目立っていたけれど、それ以外で好印象だったのは10番・梶山。

個人的な印象としては、彼のヴェルディ戦のパフォーマンスはいつも素晴らしいのですが、この日もそれが健在。
ユース出身としてダービーはもちろん期するものがあるからなのか、それとも今年から謡っているRule Kajiyamaのチャンとの音程が段々合ってきたからなのかw、ともかく積極的に動き回って相手の攻撃をスピードダウンさせたかと思えば、持ち前の溜めて。。。溜めて!!で出すパスが綺麗に繋がって攻撃の起点となっていました。

で、そうやっていつもより深い位置でボールを繋いだ後は、何度もカボレを追い越して相手DFラインの裏に走る羽生に一気にフィード。
この形が前半最もゴールに近づくパターンで、そしておそらくチームとしてそこを狙っていたのかな、と。

試合後のインタビューに寄れば前半守備的に、というのはチームとしてこの日の戦術だったようですが、それでもそう完璧には行かないもの。
フッキの完全なダイビング(現場でもTVでも、絶対にダイブだと思う)によって得たFKを自ら直接決めて1-0。塩田にとっては完全にノーチャンスな失点で、ベルディが先制します。


後半。
東京が仕掛けてはベルディがやり返すという展開も、決定的チャンスを多く作ったのはベルディ。
フッキがフリーのシュートをポストに当てて肝を冷やしたと思ったら、またもフッキの意表をつくループパスからディエゴが塩田と1対1! しかし気合のディフレクト!!
この直後から勝負の天秤が徐々に東京へ。

満を持して投入された大竹には大歓声も、本人のプレーはいつもより硬い印象でした。
が、明らかに流れが変わる。

大竹→カボレ→赤嶺と繋いで、最後は羽生!!

ミドルが決まった瞬間、本当に全身鳥肌が立ちました。

ナビスコに優勝した時にも、千葉に4-3で勝った時にも、川崎に5-4で勝った時にも本当に興奮して声にならない叫び声をあげていたけれど、全身鳥肌は初体験。
もちろんスタンドは異様なテンション、いよいよ一昨年の千葉戦@フクアリでのような、無敵モードに突入!!

この後の展開は興奮してよくわからなかったのですが、ベルディはJFK監督の指摘通り運動量が落ちたのか、危ない場面は作られず。
逆に東京はCKをゲットする度に大竹に降り注ぐ大歓声!! あわやという場面を何度も作ります。

選手交代も個人的な印象としては絶妙。

最初に浅利を外して大竹。今野が下がる。

羽生の交代はアクシデントとはいえ、金沢をボランチに入れて(最初は長友を左ハーフに上げるのかと思った)守備をケアしながら今野・梶山を更に前のポジションへ。

今野のポジションを上げるのは東京なりのパワープレーなのかもしれないと思えます。
実際にこの今野と長友で左、梶山と大竹、カボレで中央から右、という風にサイドから押し込む形に。

最後に赤嶺out→平山inで本格的なパワープレーに移行。

カボレは最終的に完全にバテていましたが、この雰囲気の中の試合でこれは仕方がない。
代わりに平山がボールを収める役となり、梶山もしくは平山が溜めては再度の選手が湧き出るという事態に。
この時間帯にこれが実行できたということがこの日のJFK監督の策士っぷりを表している気がします。

最後の長友のゴール(敢えて言おう)は、この試合間違いなくthe Man of the Matchの彼への御褒美だと思います。
また明るかった試合開始直後から東京のゴール側でフッキとやり合っていたと思ったら、逆側のタッチラインで1対1を仕掛けてCKを獲っている。
あの無尽蔵のスタミナと強靭なフィジカル、折れない心に素直に胸が熱くなりました。


こうして後半ロスタイムに普段はアウェイチームが使っているゴール裏が崩壊して、試合終了。

「勝たなきゃ意味がない試合」

で全ての東京関係者の願いは叶えられ、フィナーレを迎えました。


前述の通り、MVPは文句なしで長友。

次点に羽生。

その次に梶山。

梶山とほぼ同率で、この日、東京を応援していた人達を推したいと思います。

「無敵モード」と称した通り、東京のゴール裏がこのゾーンに入った時にはチームは絶対に負けないという自身のようなものがワタクシにはあります。
もちろん、そんなに年に1度あるかないか程度のまさに「ゾーン」な訳ですが、でもだからこそこのゾーンは試合後何人もの選手が書いている通りに選手の心をもMovingし、背中を押し、それによって発揮されるプレーによってまた我々がMovingされてブレイクしていく、まさにそんな好循環を作り出してスタジアムを「劇場」へと変貌させるのだと思います。
今日初めて、観戦中(それも序盤)に軽い酸欠状態になって眩暈を覚えました(苦笑)。

正直な話、3年ぶり、向こうはJ2帰りでこっちは中位といえどもJ1に定着したチーム、集客では断然上回っているというような現状があって「上から目線」になっているのでは、といった危惧が方々で聞かれ、ワタクシ自身もそんな空気を不安に思ったりもした中で、やっぱり東京ダービーっていうのは東京側の方がベルディ何するものぞ! 絶対に勝ちたいんだ!! という想いが強過ぎるほどに強いのだなあと。そんなことを感じることができて、本当に、本当に最高の体験ができました。



試合後、羽生の「やり方がわからないぞごめんなさいシャー」に萌えw、長友の前転5連発→千鳥足wシャーに爆笑し、ゴール裏のカラオケ大会(東京音頭(くたばれ読売)→大脱走(緑は大っ嫌い!))で調子に乗って帰宅。

呑んでも呑んでも興奮が冷めず、眠くならないまま3時からの日テレのリプレイを見て、ようやく床に就きました。


最高の勝ち方で、最高の気分で、喉が痛い最高の日曜日。
トーチュウとJ's goalのレポートでまだまだ余韻に浸ってます。
エルゴラは今週は火曜日の発売。そんなに勿体つけなくてもいいのに。。。w
スカパーのリプレイは水曜日、実況は倉敷さんだそうです。

今週は、幸せな気分で過ごせそうです☆





余談。

試合が終わり、同時に土肥との「お別れ会」も終わりました。

1つ前のエントリにて、「ノーリアクション」を宣言したワタクシでしたが、その後あのインタビューを思い返す度にどんどん怒りが増幅していき、結局いざスタジアムへ行ってみると、終始ブーイングしてました。

群集心理というのもあるだろうし、相手方があれだけ「土肥」押しで来たから余計、っていうのもあると思います。
そしてきっと、ブーイングしている人たちの中にも色々な想いが去来していたのだろうということは想像に難くありません。
もしかしたら、あれだけ恨み節を繰り返して我々のブーイングを「誘った」のは、彼なりのプロ意識なのかもしれない(もし本当にそうならどれだけ救われる想いがするのだろう)。

でも自分の気持ちについて、一ついえること。

それは、羽生が、長友が今日の試合によって、本当の意味での「東京の一員」になったと認められるように、土肥もまたこの試合によって、完全に「あいつら」の一人になった、ということ。
ワタクシ達が岐路に立ち、別々の道を歩んだけれどもまだお互いそれぞれの位置が判る場所にいて、お互いに様子を気にしている。そういう段階を過ぎて、本当に別々の道を確かに踏み出したのだと。
ワタクシ自身は、そんな気持ちになりました。

今年は後3回、ダービーがあります。

もしかしたらそれは、この日土肥に拍手を送っていたこちら側の方々(もちろんそれは全く間違いではない)が、ワタクシと同じように、あまりにも美しすぎるノスタルジーに別れを告げ、哀しいけれどもまさに今そこにある現実にその心を馴らす為の、そんな機会なのかもしれません。

我々と土肥ちゃんの、新しい物語の始まり。

次に土肥ちゃんと逢うのが、心のそこから愉しみです。

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