2008/12/31

天皇杯準決勝:東京1 vs 2柏



シーズンの終わり。
それがこんなにも悔しく、また茫然自失の静寂の中で訪れたのは、少なくともワタクシの記憶の中では今シーズンが初めてでありました。

それ程までに愉しかった、そして何より長かった! 今シーズン。
「後1歩突き抜けられなかった」チームの航海は、エコパでひとまずその碇を下ろします。

それにしても、、、悔しい。。。



初めてのエコパ。
山の中にこれ程にも立派な「ハコ」が荘厳にそびえ、また往く道には動く歩道まで整備されているという。
素晴らしいスタジアムであることには違いないのですが、果たして採算取れているのか? ハコもの行政の極みではないのか?? など、多少穿った味方もしてしまうへそ曲がりなワタクシなのですが。



中もこれまた素晴らしい造り。
味スタと雰囲気が似ている感じがするのは気のせいでしょうか。

ちなみに、入場ゲートと売店は来場客がFC東京である、ということを加味してちゃんと見積もっておいて貰いたいものです。
待機列の長さには本当に吃驚しましたが(皆様本当にサッカー好きなんですねえ。笑 ニヤニヤしちゃいました)、開門から30分経っても入場できないとか、ビールが売り切れとか、マジでありえないです。

売れば儲かるんだから、売ればいいのに。笑





噂の青赤幕はワタクシたちの陣取った真上に。

そういえば、スタジアムに到着してすぐ、天皇杯Tシャツを仙台に行かなかった同行者たちが買ってたんですが、そしたら日比野真理さんが登場。
幸運?にも、J's goalに写真のフォトニュースに掲載されていただきました。
この辺までは非常に吉兆だったんですが。。。




柏側も、予想よりかは良く入っていたかな、と。
ただ、あの音楽は、どうやって出しているんですかね?? まるで右翼の街宣者さながらでした。
こっちのお正月チャントに合わせてお正月チャントを流してくれたり、「宴会ムードってことで」(なにがだ。笑)ゴール裏全体で「乾杯!!」とやったり、相変わらず愉しませてくれます。
試合の後にこれ見よがしにお正月チャントをやられたのが本当に悔しいい。。。




一番決められたくないヤツに土壇場でゴラッソを決められ、元旦国立は来季以降に持越しです。
全体を通して東京の方が内容も良かったし、柏は終盤脚も止まっていただけに、ですね。。。

まあでも全体を通して、「ここで勝てれば!」っていう試合で尽く勝てなかったのが、今季の東京だといえるのは間違いのないところだと思いますので、ある意味妥当は妥当かな、と無理やり自分を慰めるのが何とも虚しいのではありますが、、、。


ただ、冒頭にも書いた通り、今シーズンは間違いなく、ワタクシがSOCIOになってからでは最高のシーズンでした。
観戦した試合も多分最も多いし、こんなに愉しく充実して12月まで過ごすことが出来たのは素晴らしい体験でした。
この日の悔しい思いも、ここまで勝ち進んでいたからこそのもの、ここまで歩を進めたことで初めて体験することの出来る感情であるということは、ワタクシにとっては本当に新鮮なものであることに間違いはありません。

今シーズンは総じて、東京を愛する方々にとっては非常にシアワセなシーズンではなかったかと思います。
リーグ最終戦に、監督がシャーをするような、そんなスタンドとピッチが良好な関係でいられるチームは数えるほどしかないわけですし、また同じチームでもそんなシーズンが毎年あることなんてほぼないでしょう。
そしてその原因の一つは、今季ワタクシたちがチームに求めていたレベルが、そんなに高くなかったということ、高望みしていなかったことが大きいと思います。
ワタクシ自身も当初、今シーズンの目標はただ「残留」であると、そう思っていましたし、多くの人が「今季は我慢の一年」「作り直しの一年」と捉えていたからこそ、望外の優勝争いグループやナビスコ決勝トーナメント進出、天皇杯準決勝などを本当に楽しめたのだと、そう思うのです。

来季は目標やワタクシたちの要求ももちろん高くなりますし、またそれは現状の東京という「あと1つ突き抜けられない」チームにとって、大変な挑戦になると思います。
そこでワタクシたちが、たとえ上手く行かない時があってもどれだけサッカー観戦を愉しむことが出来るか、ワタクシ自身も愛して止まない、あの「愉しんでいこうぜ!」「やっちゃうよ!!笑」的な東京のスタンドのグルーヴを造り出していけるか。
一時期のギスギスした空気が鬱積しているゴール裏ではなく、「私たちとってもいい感じ」なあの一体感を作り出せるかが、私を含め東京を応援するものたちの目指すところではないかと、そう思うのです。
浦和のスタンドようには決してならないことを。
ただ「闘う」「威圧する」だけではない、東京のスタンドを、皆様と一緒に創り出していければと、そう望んで止みません。


来年もみんなで、悦びを。哀しみを。そして、何にも代え難いカタルシスを。
あと、来年東京の11番を背負う男、「俺の」赤嶺を宜しくお願いいたします。

それでは皆様、良いお年をお迎えください。

2008/12/28

エコパへの道。



「僕たちは明日鳥になります!!」

と我らがゴリラが言ったとかw
そんな明日はいよいよ準決勝です。

帰省ラッシュだろうが何だろうが、一年間アウェイへの道のりを共に走った我が車にて一路掛川を目指します。
明日は何としても、何があっても勝ち進んで、元旦国立がただのサッカー観戦になってしまうことがないよう、最後まで声を張り上げて行きたいと思います。

J.B.Antennaを眺めた感じだと、鹿島戦の制裁の話題もあり柏側はそれ程盛り上がってはいないようですが、柏の選手(栗澤とかチュンソンとか)は東京に縁がある選手もいて、それなりにモチベーションは高いご様子。
でも何が何でも負けたくない。
「俺の」赤嶺が明日も千金のゴールを決めてくれることを願って、みんなでエコパへ乗り込みましょう!!

では、明日。

P.S.
おやつは300円までですよ!!笑

2008/12/25

我那覇が神戸と言う事は、

我那覇はJ1神戸入り有力 「来てくれる方向」と社長
(共同通信社)


これで「俺の」赤嶺は残留濃厚っていうのは駄目でしょうかね??
神戸のチームなんだから沖縄の選手2人にブラジル人ってこともないでしょうし。

これで手を打ってくれると非常に素晴らしいんですが。

2008/12/21

天皇杯準々決勝:清水1 vs 2東京



クリスマスから、お正月へ。
5回目のトライでようやく天敵・清水を沈め、遂にベスト4にコマを進めた我がチーム。

シーズンは、まだまだ終わりません!!




初上陸のユアスタは、噂に違わぬ素晴らしいスタジアムでした。
どうにかして、そっくりそのまま夢の島に持って帰ってしまいたい。



9千羽鶴。



三田涼子さんも激写。



右も。



左もサンタがいっぱいな東京ゴール裏。
日本で一番いっぱいサンタに会える場所ですかね。笑



応援席もクリスマス仕様。

コチラも噂に聞いていたクリスマス時期の東京の応援風景ですが、今回念願叶って初参加することができました。
そしてその感想はといえば、とにかく愉しいの一言に尽きます。
大の大人がみんなでサンタ帽被って売店に並ぶわトイレで用を足しているわ、終いにはクリスマスってことで売店でビールよりも早くワインを呑みつくしてしまう皆さんが素敵過ぎます!爆笑


肝心の試合の方は、清水に対する相性の悪さが存分に発揮された前半と、「俺の」赤嶺の本領が存分に発揮された後半、といった感じでしょうか。
今年の清水というと、対戦する毎にどんどんとそのピッチメンバーの平均年齢が下がっているような気がしていたのですが、前半はとにかくやんちゃというか。
勢いそのままにガンガン突っかかってくるような感じで、東京はそれをいなしたいけどいなしきれない、梶山の試合間が今ひとつなせいかパス回しもいまいちテンポが悪い、主審もいまいち毅然としない試合裁きで試合の流れもあっちいったりこっちいったり、そうこうしているうちに難しいプレーをミスしてボールを奪われ、そんな流れの悪い間にPKで先制点を献上、という。
まあそこでペナルティを決めた彼が、ちょっとゴール裏を挑発しちゃったのは、相手が悪かったかな、戸も思いますけれど。
東京というチームは、とりあえず「乗せてはいけない」チームな訳で。
試合前も相手方の監督さんが「にわかトップ」だの「カツカレーなんて」だの色々言ってたみたいですし、まあそうそう怒るでしかし!! みたいな訳ですよ。
結局前半はその勢いで出足鋭く来ていたからこその成功だったのですが、1点リードしている後半は若干受けから入ったことで畳み掛けられて盛り返す前に逆転されてしまった、という感じですかねえ。
振り返れば、この日の清水が見せた姿というのはワタクシたちのチームが過去にそれはもう散々繰り返していた「若いチームが崩れたとき」のそれでありまして、この日は東京の方がちょっとだけ、本当日本のちょっとだけ「強豪チームくささ」を携えていたように思います。

それにしても清水は、前回1-5でやられた際や、鹿島に延長で大逆転勝利を収めたのをTVで見ていた限りでは、とにかくがむしゃらに、そして溌剌とプレーしていたイメージだったんですが、この日仙台で再開した相手は、気負いすぎたのかもしれませんが、やたらに「つっかかってくる」という若者集団に変貌してて「あれれ??」という感じでしたね。
一つ一つの接触プレーや判定にナーバスになりすぎてしまい、集中を最後まで持続させることができなかったという感じでしょうか。
その後リードされて猛反撃に出るも、東京は今季何度か見せた「藤山のサイドハーフ起用」と「平山ボールキープショウ」の2本立て逃げ切り大作戦で試合をクローズして、ようやく今シーズン初めて清水に勝つことが出来ました。
めでたしめでたし。

というか個人的には、

ざ ま あ み ろ



という感じですwww








試合後はみんなで思う存分クリスマス気分を満喫☆



「俺の」赤嶺はやっぱり頼りになります。

去就が微妙なようですが、個人的には来季の11番を期待している選手です。
是非残って欲しいし、その為にもアジア行きの切符が色々なことを解決してくれる約束手形のような気がしてなりません。




試合後は勝利の美酒と牛タンを堪能して、東京へ。
首都たるもの、地方にはバンバンお金を落とさねば。笑



今回ワタクシ達はJR東日本の提供してくださったツアーで日帰り仙台旅行を敢行したんですが、そのツアーはコチラのお店での牛タン定食がツアーメニューとしてついておりまして。
おそらく同じツアーの乗客の方々であろう東京サポの方々で店内はごった返しておりました。
案内待ちの名簿には「赤嶺」「塩田」「城福」「カボレ」など色とりどりの名前が。爆笑



時間の関係で光のページェントは見ることが出来ませんでしたが、仙台はやっぱりいい街です。
スタジアムも最高だし、道行く女の子もかわいい。
後はベガルタがJ1に上がって来るだけだったんですが、まあそれはまた来年以降の愉しみに取っておくことにしましょう。



次はエコパ。
相手は柏です。
栗澤が元気でやっている姿と、柏との応援合戦に期待して。

♪お正月には国立で
青赤軍団荒れ狂う♪

早く来い来い、お正月。

2008/12/06

第34節:千葉4 vs 2東京





敗因を一言で述べるとするならば、「采配ミス」ではなかったかなあ、と。
羽生の交代こそが、このゲームの趨勢を決め、ラスト20分の奇跡を千葉にもたらした要因であったように思います。

まあ本人が脚を攣って交替を申し出た訳ですが、2-0で勝っている段階で、気持ちでプレーするのとは違うやり方で相手をいなすことが出来る選手、今季の東京だと多分エメだとおもいますが、そういったボールを持てる選手がベンチにはいませんでした。
前線の選手は多かったものの、ちょっとバランスが悪かったかもしれませんね。
ピッチに入れる交替選手を決めるのも監督の仕事ならば、当日ベンチに入れる18人を選ぶもの監督の仕事ということですね。




試合前、奇跡の残留に向けて意気揚がる黄色いサポータの「WIN! BY!! ALL!!!」に、ファンファーレ、東海マーチ、終いにはウェーブで応える東京ゴール裏。当然そんなおちゃらけムードに付き合うわけのない千葉側ファンには容赦なくブーイングと、ここぞと言う試合で見せる東京ゴール裏の「すかしモード」が全開でした。
一部の方々からこの雰囲気をして「温い」「緩い」だのという意見があるようですが、ワタクシ自身は、このスタイルこそが大一番に望む東京ファンの最高の気概の発露だと思うのですがいかがでしょうか。
大一番になればなるほど、相手がムキになればなるほど、「そんなに熱くなってないで、楽しもうぜ!! いえ~い」みたいな姿勢で相手をいなしつつ、でも勝っちゃうもんね! 的なw。
結局この日はそうは行かなかった訳ですが、それでもこの日ゴール裏に居合わせたいちファンの受けた印象としては、最高の雰囲気を試合前に造れたと思う、というものでしたがいかがでしょうか。


この試合を通して語る価値があるように思うプレーヤーとして挙げるならば、やっぱり羽生。それから巻でしょうかね。

相当な決意を持って今年一月、ワタクシたちの東京に移籍を決断した羽生のこの日のプレーは、まさに千葉時代、「テレーポーテーション」「分身の術」「ピッチのどこにでもいる」「いや、実はピッチ上に羽生が3人いる」とまで言われた、東京に来た以降はなりを潜めてしまっていたあの珠玉のパフォーマンスでありました。
実際に千葉の残留にかける気迫を跳ね返していたのはその羽生の縦横無尽のプレーぶりであり、言葉を発せずともプレーでチームを引っ張る。そんな描写が相応しい程伝わってくるものがありました。

ただ、、、。
ワタクシはそんなことを思いながら、羽生が千葉の選手から激しくボールを奪い、また際どいシュートを放って東京側に歓声を、千葉側に悲鳴をもたらす度に、その姿に『はじめの一歩』でハンマーナオ(ゲロ道)と対戦した時の幕の内一歩を重ねずにはいられませんでした。
早く決着をつけたい。
さっさと試合を決めて、ラクになりたい。
早く終わって欲しい。

果たして彼が本当にそんな気持ちを抱えてプレーしていたかはもちろんわかりません。
が、とにかく見ているこっちが心配になるほどフルスロットルで飛ばす羽生に引っ張られる形で、東京はハイペースなサッカーを展開。結果的に、2点を奪います。
実際、長友のゴールが決まった瞬間、ピッチ上の千葉の選手は完全にガクッと来ているように見えました。
、、、ただ一人。巻を除いては。

千葉がこちら側に向かって攻めていた前半、巻のプレーは本当に恐かった。
空中戦での競り合いは、正直佐原・モニと5分だったと思います。
でも、彼が競ってボールを触る度、本当にその度にヒヤリとさせられました。
彼は正に鬼気迫るなんて言葉では形容できない程の迫力・悲壮感に溢れたプレーで、愚直にゴールを、勝利を目指していたように思います。

羽生のシュートがポストを叩いて、最後まで千葉の背番号18の心だけは折ることが出来ずにピッチを退いた後、東京は遂に千葉の、いや巻の決死の想いをはね返すことが出来なくなります。
新潟戦の松下のシュートは、塩田が触った結果ポストに弾かれゴールを割らなかったのに、この日の新居のシュートはポストを弾いてゴールに吸い込まれていきました。

そこからあれよという間もなく2失点。
2点目の谷澤のシュートも素晴らしかったけれど、その前に競り勝って彼にボールを落としたのはやっぱり巻。彼の「諦めない気持ち」が、千葉を大逆転に導いたとしか、絶句するワタクシには思えませんでした。








ドラマというにはドラマチックすぎる千葉の残留物語も、その引き立て役となった東京側から見れば本当に悔しい、情けない試合。
ワタクシたちのチームも、今まで何度も相手にまさにこういった感じで煮え湯を飲ませてきていたわけですが、初めて飲まされてみてその絶望感に呆気にとられるしかありませんでした。

でも、いいもの見せてもらったかな。
たとえ負け惜しみでも、そういいたいなと思います。おめでとう。来年もこの素晴らしいフクアリで東京の試合を見ることが出来る。
試合後、千葉のシーズンアウトのセレモニーを見ながら素直に拍手を贈らせて頂きました。



何はともあれ、これで今季のリーグ戦は終了。

最後に本当に悔しい想いをさせられてミソをつけられてしまった訳ですが、それでもやっぱり今季のリーグ戦は上々の出来であったという気持ちに、これっぽっちも嘘偽りはありません。
元々ベルディが川崎に勝つことは正直に全く期待も何もありませんでしたから、残る天皇杯を勝ち残って、元旦国立という至極のシアワセ体験を味あわせてもらいたいと、そう思います。

その相手は、怨敵・清水。
結局今年4試合して一度も勝っていない相手ですが、そして前回天皇杯で対戦(@岡山)した際も2-0から悔しい逆転負けを喰らった相手ですが今度こそ! 絶対に勝ちたいと思います。

2008/12/03

フクアリへの道。

羽生直剛オフィシャルウェブサイト

つくづくこの人は、外連味のない、本当に実直な人だなあと、ただただ思うばかりです。

ワタクシたちがそんなワタクシたちのキャプテンに対してできることは、後押しすること。全力を尽くした彼に、拍手で、歓声で応えること。
きっとそれだけしかないのでしょう。
羽生さん自身の想いは、他の誰にも推し量ることや、ましてや分かち合ってあげることなど到底出来ないと思いますが、この素晴らしいJリーグのシーズンのフィナーレに、彼の物語と、千葉の物語と、そしてワタクシたち東京の物語を、しっかりとその目に焼き付けたいと思います。

ちなみにワタクシ自身は、ACL云々なシチュエーションはもちろん百も承知ですが、それでもベルディの勝利を願うことは絶対に出来ません。
千葉に関しても、ワタクシにとっては心の底から降格して欲しくないクラブの一つであり、しかし東京の敗戦は絶対に見たくないし、ACLには行きたいし。
何だか支離滅裂な願いが渦巻いていて、こんな心境を吐露してしまうと土曜日にフクアリのゴール裏を共にする方々や、そこに辿り着けなかった多くの方々から非難轟々誹りを免れないであろうことも解ってはいるのですが、それでもやっぱり、もしも素晴らしいゲームになり、その結果東京が勝っても或いはもしももしも千葉が勝ったとしても、素直に拍手してしまえる自分が居そうな気さえしてしまいます。

でもくどいようですが、ワタクシは100%東京の勝利を願っていますし、その応援のためにフクアリに出向いていくのです。

、、、。

新潟戦が終わっての家路以来ずっとこの心境を整理しようと頑張っているのですが、未だに荒唐無稽な思考のまま、土曜日を迎えてしまいそうです。
そして、試合が始まって、終わる。
残酷なものか、幸福なものか。何かがワタクシたちの目の前に示される。
様々な思いが去来して、各々がそれを噛み締める。

そしてフットボールは続いていく。

羽生さんの日記を読んで、それでいいのかもしれない、と、ワタクシのような中途半端な応援者も何だか許されたような気がして、少しラクになったような感じです。


最終節。

そこで起こる出来事を、しっかりとこの身で体感しようと思います。

2008/12/02

第33節:東京1 vs 0新潟



プラチナルーキーから、今年のヒーローへ。

東京が今季最後のホームゲームで奪った値千金のゴールは、今季の味スタを最も狂喜させ、そして東京ファンを今季最も惹き付けた選手たちによるものでした。
この瞬間だけを見ても、そして試合全体の内容を俯瞰してみても、疑いなく2008シーズンを象徴する試合であり、またそこにこそ今シーズンのチームの成長を垣間見ることが出来た、そんな試合であったといえるのではないかと思います。

今季のチームの出来を決める選手になった10番を欠く事態で我らがJFK監督が選択した布陣は、羽生をボランチに下げ気味にし、羽生の位置にエメを据えたスタメンとなりました。
浅利ではなく羽生を下げたことに少なからず驚きを感じたワタクシですが、「攻撃的に行く」という決意表明であったと同時に、羽生がダイナミックに動くことによる他の選手のMovingを期待したのかなあ、というのが第一印象。

ただ、左サイドの人員をカボレの他は「総とっかえ」した弊害と言ったらいいのでしょうか、前半はボールを持った金沢やエメが少ないタッチで捌くことが出来ず、出しどころを探すシーンが散見されます。
特にエメはピッチコンディションが掴めなかったのか、それとも試合勘の問題なのか、パスのスピードやコースが少しずつずれてパスミスを連発。

いかんせん梶山がいないため大きな展開は期待できず、加えてエメがこの通りブレーキでパスがリズム良く繋がったのは1、2回といったところでしょうか。
当然これではリズムも悪くなれば流れも掴めず、というわけで、新潟の松下(いい選手ですねえ。。)を起点に危ないシーンを何度も作られてしまいます。
最早完全にネ申を襲名した塩田様の素晴らしいパフォーマンスで失点はしませんでしたが、やはり梶山不在時の「答え」を示すことは、この試合でも出来なかったかな、と。。

ただ、では何も打つ手なしの前半だったのかといえばそんなこともなく。

確か前半、松下が裏へ抜けて塩田と接触、ボールはクロスバーをヒットで肝を冷やした後の松下の治療時間だったと思います。
モニ、佐原、今野、羽生の4人がペナルティアークの付近に集まってミーティングをしていたのです。
こういう選手同士で試合中に話し合うシーンというのは結構東京においては珍しい1コマであるように思えて、何だか印象に残っているのですが、この結果中盤の底には羽生が入り、今野が右めに少し張り出す形になり、羽生を中心に短く横パスを繋ぎながら全体を押し上げ、左サイドから相手ゴール前まで迫る、というシーンを作っていたりしたのを見て、「ああきっと選手間で役割をハッキリさせて修正を図ったんだな」と妙に納得してしまったワタクシなのでした。

このワンシーンが個人的にはとても印象深いものだったんですが、その他にも、東京は試合開始直後には前線に蹴って押し上げる、というスタンスでプレーしていましたが次第に地上戦でパスを回して崩すことにチャレンジしていました。
新潟は新潟で、東京対策としてかは判りませんが、前線からしっかりと追ってCBの2人やボランチのところでのビルドアップをさせないという対応を精力的にこなしていたので、実際あまり効果的に試合を支配できているようには見えなかったかもしれません(実際ワタクシもそうでした)が、ところがこれがしっかりと効果を持っていたというが試合が進むにつれて判ってきます。


この試合、確かに東京の試合内容が良かったかと言えばそうはいえないかもしれません。
塩田の再三のビッグセーブや、監督も認めているように運にも加担してもらわなければ結果は全くわからなかったとも思います。

ただ、先程リプレイでも確認したのですが、後半20分を過ぎた頃から新潟のフィジカルが目に見えて落ちてくるわけですよ。
トラップの際に足が出なかったり、パス精度、攻守の切り替え、状況判断のスピードなどが明らかに東京についていけなくなってくるのです。
次第に大竹を掴まえきれなくなり、ナオよりも少し低い位置から走り始める達也についていけなくなったり。
選手交代の妙ももちろんありますが、それが効果を発揮する展開へと試合が流れていっているように思うのです。

そして、「俺の」赤嶺の決勝点。
これも結局、基本通りにたたきつけたヘディングが新潟の選手のクリアミスを誘っているのも、その辺のフィジカル要素が大きいとワタクシは思っています。


2007-2008シーズンのアーセナルと対戦したチームは、パスを回しに回されて後半の半ばで必ずバテてしまい、最終的にはアーセナルにゴールを割られるという展開を紋切り型のように繰り返しました。
今の東京がそこまでのことをやっているとはこれっぽっちも思っちゃいませんが、しかし苦しかった夏場を乗り越えた結果、相手を消耗させる。自分たちはそこでもう一度押し込める。それくらいの展開には持ち込めるようになっている。
この試合はそんな東京の現在地の証左になったのではと、一人で思っていたりするのです。


さて、私が東京を見始めて以来、おそらく最も幸福な試合後のセレモニー。

色々な所でも貼られていますが、ココにも貼らせていただきます。
撮影してくださった方には、最大の尊敬と、深い感謝を。



それにしても、素晴らしい演説ですねえ。
そこいらの政治家センセよりも、よっぽど心を鷲摑みにされ、揺さぶられるように思うのはワタクシだけではないと思うのですが。。

どなたかも仰っていましたが、この試合でようやく東京も「スタートライン」にたったのかな、と。何故だかそんな気持ちになります。
もちろん今季はまだまだ続く(これも本当に嬉しい!)のですが、今年は本当に愉しい一年であったなと。
そしてこれをベースに来年、更に高い目標にチャレンジしていくことを思うと、今からもうワクワクしてしまったりする妄想癖なワタクシなのです(爆)。

来年も、ホーム最終戦でスタンドに乞われて監督がパフォーマンスをする、そんな愉しい瞬間を享受することが出来る、そんなシアワセな時間がもっともっと長く続くことを願って止みません。




ワタクシがFC東京というサッカーチームに、初めて出逢った時に選手たちが着ていたユニフォームです。



歴代のユニフォームたちが語る通り、東京にもそれなりに過去が出来ました。



そして、もちろん未来があります。
そしてそれは、とても明るい。

そう思わせてくれる、2008年最後のホームゲームとなりました。


また来年。

このスタジアムで、色とりどりの出来事を、この目に焼き付けて行きたいと思います。

2008/11/29

ホーム最終戦への道



明日はいよいよホーム最終戦。
と同時に、11月末日でもあります。

Jリーグでは来季非契約選手へのいわゆる「0円提示」を、11月30日までに行わなければならないと決められているため、例年、ホーム最終戦はそういったチームを去る選手との「お別れ会」的な趣きもありました。
一昨年のフミタケの引退セレモニーや、昨年の土肥や福西は記憶に新しいところではないかと思います。

今年は優勝争いをしていたこともあるのか、他チームの契約云々の報道が徐々に漏れ伝わってくる中で東京に関するものは今ちゃんのお約束報道以外は皆無ですね。
まあ来季のACL云々によって編成も大きく変わってくることは間違いないでしょうから、最終的に色々なことが確定するのを待っているという事情があるのかもしれませんが。


でも、今年はそんな感傷ムードは一切不要であることは御承知の通りです。
強いて言うなら、今ちゃんの結婚を祝ってあげる程度でしょうか。
(塩田のア・ニ・キを祝って今ちゃんを祝わないはずがないw)


スタジアムを今季最高のグルーヴで包み込んで、新潟を蹴散らすのみです!!




ホーム側のチケットはここへ来てなかなか売れてきているようです。
アウェイの方々は、残留へ向けて頑張らなくていいのでしょうか??

さあ、ラストスパートへ!

2008/11/27

第32節:神戸1 vs 1東京

試合終了後、そんなに落胆もしていなければ、当然のことながらそこまで明るくもならなかったワタクシですが、どういうわけか今日まであーだこーだと書く気にはなれず。

かといってその後リプレイを2回も観たものの、いまさら試合について何やら振り返るのもなあ、、、という感じでもあり、うーん。。。微妙ですね。。。


まあ、いずれにしろ。
神戸戦を一言で言い表すとしたらば、神戸の方がMovingであった。と。
それに尽きるのではないでしょうか。


梶山を完全に抑えられ、我が軍はまさに両翼をもがれた状態で闘わねばならなくなってしまった訳ですが、それはオシムさんがいった「守備に回った瞬間、ロナウジーニョはロナウジーニョではなくなる」という理論をそのまま実践されてしまったかのようでありました。
この試合でとにかく標的になってしまったワタクシたちの10番は、結局大久保へのラフプレーによる累積警告により2試合出場停止。
まあポジションゆえにしかたないかとも思いますが、やっぱり8枚は貰い過ぎという気はします。

言うまでもなく、これで彼の今季のリーグ戦は一足早く終了となってしまいましたが、チームとしてはこれでいやがおうにも梶山を欠いた際の「答え」を、残り2試合で示さなければならなくなり、個人的にはそれはそれで愉しみであったりします。
それはエメなのか。それとも浅利かはたまた浄か。それとももっと有機的な変化が見られるのか。
徳永も出場停止でサイドの構成も変わるだけに、今季は何度も何度もその用兵術を見せつけてくれたJFK監督の最後のホームゲームでのプレゼンテーションに期待せずにはいられません。


優勝へは足踏み。
けれども、このクラブの得意技は、なんといっても「棚ぼた」である訳ですw

最後まで決して信用してはいけない。
それがトーキョーですよ皆さん!!w

半信半疑な方のために、こんな古典もありますし。

<前編>


<後編>




まあこんなことを敢えて私がしなくとも、幸い、方々で目にするのはポジティブなコメントばかりで、30日は仮にチケットが売れ残っていたとしても、非常に素晴らしい雰囲気がスタジアムを包んでくれる予感がします。
だから皆様。もっとチケットを入手してはいかがでしょうか?(願)
絶対に最高のグルーヴを味わえます!!




ワタクシ自身はクラブの「青赤大作戦」にあやかり、「派手」「キャラが違う」と揶揄されながらも先週来こんな格好で通勤しております。


本当に、本当に愉しかった一年間も、遂にクライマックス。

全てを覚えています。
全てを携えて、味スタでお逢いしましょう。

2008/11/15

鶴。

ナオとモニに。
モニは足が攣っただけと言う事で大丈夫そう(やっぱり潜在的な疲労が蓄積しているのでしょうかね。。。)ですが、ナオは本当に軽症であることを切に祈っております。

鳥取に行けなかったワタクシには当然試合を見る術はなく、先程ダイジェストでゴールシーンのみを確認した次第ですが、それにしてもナオにあんな悪質なタックルをした相手の選手は誰なんでしょうかね。怒
ホーム最終戦では、引き立て役として上京してくださるとのことですが、盛大な歓迎をして差し上げたいものです。


ともかく。

これにてシーズン終了は12月20日まで延期となりました。
会場はどこになるかが気になるところですが、何となく関東圏である気がするのはワタクシだけでしょうか?笑

相手は清水。
個人的には鹿島よりも清水に上がって来て欲しいと思っておりましたので、こんどこそ、こんどこそ何としてでも勝ってシーズン終了を更に伸ばしたいものです。

2008/11/11

第31節:ガンバ1 vs 3東京



いやいや。。。
本当に、夢じゃないかしら。

そう思わずにはいられない程、圧倒的に試合を支配され(ボール支配率:30対70)、倍以上のシュートを浴び(7本-15本)、10倍の数のCKを蹴りこまれても、スコア的には快勝という、本当にドッキドキの試合になりました。
でも、本当に行ってよかったです。



万博競技場は今回初上陸。
国体型のスタジアムは、やっぱり見くいですね。

新スタジアムの建設計画とかはあるとかないとかだそうですが、チームのソフト面でなく、ハード面でもアジアを代表するクラブになって行って欲しいものです。
せっかく巨大なスポンサー様がついているのだから。





アップの風景。
真剣な表情と見るか、硬いと見るか。




コレオグラフィ。
名古屋に行ったときも同じことを思いましたが、やっぱりファンが大人しい印象でした。
スタンドの構造のせいかもしれませんが。。。
とても好感の持てるスタイルのサッカーを応援しているチームは魅せているだけに、ちょっと残念な感じがしますね。


で、試合ですが。
冒頭に述べたような印象だけではただの「不思議の勝ち」で終わってしまうわけで。

それはそれでいい思い出にはなるのですが、やっぱり「サッカーを呑み屋で語る」にはもう少しもっともらしい似非論理が必要な訳です。
という訳で、スタジアムレベルで見た時に感じた、もう少し戦術的なポイントを書いてみたいと思います。


両チームの機軸は、ガンバが4-3-1(ルーカス)-2気味の4-3-3に対して、東京は鹿島戦と同じく4-3-3。
これは前回も書きましたが、この状態だと東京の方が中盤において構造的に数的不利に陥ることになります。
更に、今回の対戦相手であるガンバが鹿島と決定的に異なるのは、DFラインを2枚にしてでも両サイドバック(加地・安田)がいっぺんに上がってくることでしょう。
この辺がガンバが「攻撃的」と評される所以であり、実際それによって相手を圧倒的に押し込む、中盤を試合するスタイルを指向しているチームであると思います。

両サイドバックが押し上げた時は、ガンバの前線はルーカス・ロニー・播戸の3トップの形になります。
すると当然東京の4バックとは非常に分が悪くなります。
実際にその「4枚」の間を播戸に使われて、1対1の場面を何度も作られてしまいましたし、そこで塩田にネ申が降臨していなかったら、恐らく大虐殺もあったと思います。。。

この日の東京がそれにどのように対応したかというと、まずDFラインの4枚は中に絞って相手の3枚に対峙する、京都や新潟が採用している「守備的な4バック」を採用。
これで中央の数的不利をある程度解消すると、サイドはなんと安田にはナオ、加地にはカボレがDFラインまで下がって対応するという、「超守備的」な布陣で応戦。
いずれも守備の選手ではないので、カボレのサイドは長友が上手くフォローしてくれていたことや加地がそこまで深く抉っては来なかったということもありまあ大丈夫かな、と思ってみていたものの、反対側のナオvs安田は「かなり荷が重いなあ。。。」と当初思っていました。

ところが。
ナオは安田とのマッチアップを試合終了まで互角で乗り切ったばかりか、そこから攻めあがってクロスで先制点をアシスト。
それを決めたのは逆サイドのなんとカボレ。
まさに「6バック」さながらの位置取りで守っていたところから前線まで行って点を獲ってしまう。
得点シーン以外にも、左のカボレから大きくペナルティエリアを横切るクロスが入り、ナオがフリーで受けたけどふかす。。。(あれはせめて枠!)なんていうシーンもありました。
しかもナオにいたってはフル出場を果たしたわけですから、この日の両翼2人は本当にスーパーの一言ではないでしょうか。

他にもこの日は、2得点目は長友のロングスローからナオ、3点目は徳永のクロスから平山と、サイドの選手の頑張りが結果に表れた試合となりました。
ただ、そんな深い位置からカボレやナオが上がることが出来たのは、マイボールに収まった少ないチャンスで平山や梶山、羽生といったところが中央でしっかりタメを作れていたというのがやはりあると思います。
梶山は終盤に相手(倉田でしたかね?)のチャージに切れて「おいっ! お前がイエロー貰うとやばいんだからっっっ!!」なシーンでヒヤリとさせてくれたものの、今季は総じてパフォーマンスが高値安定。
欲を言えば後は得点の怖さが出てくるといいのだが、といってところですが、それでも毎試合素晴らしいプレー振りを披露してくれていると感じますし、平山は梶山のように「引き付けて、、、引き付けて!!」だそうとして失敗。。。というシーンはあるものの、チームのサイド攻撃を機能させるに不可欠なピースになっているように思います。
あれで「まだまだ全然上手くなれるよな。。。」と素人のワタクシが思ってしまうのだから、そのポテンシャルは確かに凄いものがあるのか、と最近徐々に思うようになりました。
「でーじ寒がり」な「俺の」赤嶺にも負けずに頑張って欲しいものです。

後はモニですかね。
途中交代してしまいましたが、前半播戸に数回裏を取られてからは、ラインを下げるという対応ではなく、6バックのようなラインで自身が余る形になっていたこともあると思いますが、そこからロニーや播戸に入る楔を徹底的に潰しに行く、時にはルーカスとやり合っている今野や遠藤を見ている梶山を追い越してまで楔を潰す、そういった選択をしたことが後半頭からの播戸の交代を呼び込んだのかもしれません。
結局彼が退場して、今ちゃんがDFラインに入ると、1対1は問題ないんですがやはりDFラインが下がってしまい、ガンバの遠藤を中心とした独特の縦→縦→縦の立体的な崩しに危ないシーンを作られてそこからルーカスに得点されてしまったのはちょっと示唆的であったように思います。
負傷の具合が心配ですが、本当に、心の底から軽症であることを切に願ってやみません。






というわけで、MVPは試合の流れを相手に渡さなかった塩田で決まりとは言うものの、個々の局面や戦術面での充実ぶりが輝いていたように感じられた今回の大一番、鹿島・ガンバと破ってのこの時期の連勝は、本当に価値あるそれではないでしょうか。
サッカーって本当に底の見えない、懐の深いゲームだなあという感想を抱くに至った今節ではありましたが、日曜日が終わってみると川崎も負け、名古屋も負け、大分と鹿島は引分けというなんとも、、、なんとも!!な展開に。

もしかしてこれは、、、!!
東京のお家芸、


たなぼたか!?w




各メディアでも、「首位の鹿島から6位のFC東京までの6チームが勝ち点差3の中に、、、」と、いよいよ優勝争いグループの仲間に入ってきました。



もう愉しくて仕方がないワタクシですが、大切なのは最後まで、一生懸命戦い抜くことだけですよね。
そして最終節、フクアリで何が起きるのか、個々まで来たらしっかりと見届けたいと改めて決意している次第です。




諸般の事情により、残念ながら次の天皇杯・新潟戦と、次節・神戸戦は現地に行くことは出来ませんが、それは皆様に託してワタクシはホーム最終戦・新潟戦に備えたいと思っております。
ポイントはこの1ヶ月で2度当たる新潟だと思っていますが、まあもう来たらどんな形で「感謝の日」を迎えることになっても、最後まで愉しんで駆け抜けることが出来るように。

夢のような時間が、まだまだ続きますように。

2008/11/04

天皇杯4回戦:東京2 vs 1仙台



鈍色の空。
見慣れた広告ボードが一つもない、報道陣もいない。
そこにピッチがあるだけでは、いつもよりもだだっ広く感じられる味スタ。

天皇杯の始まりというのは、例年、何だか寂れた風景のように感じてしまいます。

例え使い慣れたグラウンドでも、1週間前に熱狂と歓喜を抱いたばかりの空間と同じスペースを持っていても、そこにいつも普通にある様々な者や物が不在であるだけで、全く違う雰囲気を携える。
そしてワタクシたちの心の在り様もまた、「いつも」のそれとは異なっていくのでしょう。

監督を「ジョー浩」とコールされ、失笑するゴールスタンド。

大・宮沢コールで全ての東京の選手に先んじて迎えるスタンド。

仙台のCKにニヤニヤしながらブーイングして、事なきを得るとすぐにまたも大宮沢コールなスタンドw

賛否両論喧しいようですが、ワタクシ自身はサッカーの試合と言う興行は単に「愉しむ」ものだと思っており、もちろん鹿島戦のような「熱」も当然至高の悦びには違いないのですが、この日のような、どこか焦点を外した、でも東京だけでない、何だかもっと大きな「サッカー」に対して愛があるよな、って思えるそういった心の持ち方と言うのも、大事にしたいなと思っています。
もちろん負けるのは嫌ですし、真面目に元旦・国立に行きたいとか言ってるんならそんなのないだろう、っていう意見も充分理解できるんですが、かつては大真面目な鹿島戦(確かあれもカップ戦だったような)の最中に、隣の神宮球場で上がった花火に感嘆の声を上げ、試合そっちのけで「玉屋! た! ま! や!w」とコールした東京のゴール裏が、やっぱりワタクシは好きなんですよ。
実際終盤はしっかり後押しして、帳尻合わせた感じにしてましたし。苦笑
でもそういう気まぐれで悪戯気質な心意気は、失いたくないなあ、とも思うわけです。


塩田のファインセーブがなかったらさっくり負けてるようなヒヤヒヤもののゲームではありましたが、ではこれが本当に「薄氷の勝利」なのかといわれればそこまででもないのかな、と。

確かに前半のあの圧倒された感じは、選手が怪我を怖がっているのか足だけでしかチェックに行っていなかったり、鹿島戦でもポイントになったシステム的な中盤の数的不利はこの日モニが欠場したお陰でDFラインが下がってしまいダイレクトにセカンドボールの奪取率に出てしまったりと、メンタル・システム両面でのちょっとしたズレがこれくらいの大きな違いを作るという好例であるように思えたりもした訳ですが、それでもカボレは6割程度の力で相手選手とは全く違う次元でプレーしていましたし、ぬるくやってる割にはチャンスもそれなりにあったんですよね。
まあ、それを見ているこっちがどこまで許容できるか、というのはまた違った話になってくるのですが。。。

実際同点にされた後の我が軍はようやく目が覚めたのか、1タッチ2タッチで繋ぐというようにパス回しのテンポを1段上げて攻撃に出たわけですが、序盤から飛ばしてきていて足が止まりかけた仙台はもう完全についていくことが出来ませんでした。
なので、例え延長になってもこれは勝てるだろうな、とそんな感じで終盤は進んでいきましたし、一番安心したのは前へ前へと圧力を強めながらも、無理矢理に攻め急いだりはせずに結構ピッチ上の選手たちは落ち着いていたように見えたことですかね。
結局、後半35分で足を使い切ってしまった相手方と、意図してではないにしろ結果的に最終コーナーを回ってもまだ足を残していた東京で最後の直線はその差がそのまま出たのかな、とそんな印象でした。
まあただ、サッカーなんて何のキッカケでそんな微妙な均衡が崩壊してしまうかわからないものではあり、そういういみでは「勝ったことだけが収穫」という感じであることに間違いはないとワタクシも思う次第であります。




これで今月のこの後はガンバ→新潟@鳥取→神戸→新潟と、関西圏ばっかりですな。
しかも新潟と2回やるのは結構感じが悪いのですよね。。。
基本的に同じ相手と2度やって2度とも勝つというのは、最初に負けた側は当然雪辱を期して望んでくるわけで、しかもそれは再戦が近ければ近い程気持ちも強くなりますし、どうにも難しくなりそうですな。。。
ただ、そうはいっても勝つしかない、という事実には何の疑いもない訳ですから、そこは何としてでも達成して頂かないとというのも当然のこと。
鳥取と神戸には参戦できませんが、是非ともいい流れを掴んでフィナーレへと雪崩れて行きたいものです。




仙台は来年上がってくるのかな。

個人的には仙台は大好きな街のひとつでもあり、是非とも上がってきて欲しいのです。
もしも入れ替え戦になって相手がベルディなら、迷わず味スタに応援に行きますよ!!



最後に。

ワタクシがFC東京のSOCIOになって、最初に買ったプロ紺シャツの背中に選んだのは、「MIYAZAWA」でした。
ボランチの位置から右と左、丁度「V」の軌道の先にある東京の両翼に向かってその左足からボールを放つ。
運動量は多くない、足も速くないし、あたりにも強くない。
けれども、ともすれば華奢にすら見えるその身体から放たれるワイドパスの美しい軌道と、そして左脚がボールを捉える、その瞬間の彼の優雅な佇まいが大好きだったのです。

最後に東京の選手として彼を見たのは、2005年の天皇杯5回戦、岡山で清水に敗れて東京に戻った、羽田空港の到着ロビーでした。
「お疲れ様でした。」と、あの時選手に初めてかけた言葉が、そのまま最後の言葉になるとは思ってもいなかったものです。
彼は翌年大分の一員となり、そして今は仙台でプレーしています。

背番号は16から1が取れて6になっていましたが、華奢な身体とそこから描かれる壮麗な軌道のコントラストはあの時と同じで、サッカーを続けてればどっかでまた遭えるのだなあ、と。
そんなノスタルジーな気分になりました。

ミヤにもユキヒコにも、そして東京にいまいる選手たち、今は違う場所でプレーしている選手たち、更にはプレーを終えた選手たちにも。
幸多からんことを、とただただ思ったのでした。