2009/05/06

トラップ



広島戦の翌日は、今季初めてユースっ子の試合ぶりを見に、秋津総合公園サッカー場へ行って参りました。

新習志野の駅の近くにあるこの競技場は、かつてJリーグが始まる頃、当時のジェフがホームスタジアムとして使用しようとしていたものの、近隣住民の反対にあって頓挫したというエピソードのある競技場だそうです。



この日のカードは、ジェフユース vs 我らが東京U-18。
どちらのチームも、現在はまだ今年度の新チームを形作っている段階ということで、全体としては大味なゲームになったように思いますが、その中での東京の勝因はと敢えて言われれば、攻守の切り替えの速さではなかったかな、というのが率直な感想です。
千葉の選手は全体として長身で体格が良く、基礎技術に関してはそれほどの差はなかったように思いますが、ワンプレーごとの切り替えの速さにおいては明らかな差があったように思います。
その辺で、お互いミスの多い試合ではあったものの、その後のリカバリーでこの点差だったのかな、と。
個人的には、そのような印象を持ちました。

東京も千葉も、前者は相手DFラインの裏狙い、後者はトップの長身選手に入れる、ということで目的は違うものの、基本的にはボールを奪ったらまず前線に蹴っていく形が中心のゲームだったこともあるのですが、そのため中盤でボールを持って「試合を作る」選手というのが両チームとも見当たらなかったというのが試合に出ていた選手たちを見渡しての第一印象でした。
思い返してみると、いわゆる「ゲームメーカー」的な選手って、最近はユースよりも高校サッカーなどに多いような。
まあユースの場合はチームメンバー間のスキルレベルが劇的に違ったりと言う事があまりなくなっているので、高校サッカーのような部活動の方がそういった「超高校級」が目立つだけなのかもしれませんが、かつての梶山のような選手って、あまり見ないような、そんな気がします。
この試合も中盤に1人、そういった選手がいると、ハイペースな蹴りあいにならずにもう少し中盤の構成力で勝負できるサッカーになるとは思ったのですが。

まあまだ初見ですので、今後に期待したいと思います。



今季初めてのユース観戦と言う事で、背番号と名前が一致しない選手が大半だったのですが、その中で最もワタクシの目を引いたのは、7番の星君でした。

先般書いたように、試合を落ち着かせる機能を双方で持ち合わせていない中盤に在って、最もその可能性を感じさせてくれたのが彼でした。
サイドのポジションではありましたが、ドリブルでボールを運ぶ、見方とのワンツーで前に出て行く、そういった部分で試合に変化を生み出すようなプレーがいくつか見られましたし、また勝負どころではしっかりと前線まで行き、ゴールも奪ったのでそう感じたのかもしれません。

次見るのがちょっと楽しみではあります。




代表にも呼ばれている廣木君は、2年生ですが何というか、貫禄のプレー。
特筆すべきプレーがあった訳でもないですが、しっかり効いていたなという感じでしょうか。
また、前半左サイドでボールを奪った際に、逆サイドの星君などサイドの位置にいる選手に綺麗にサイドチェンジを通したシーンが2度ほどあり、彼はなかなか視野の広い選手なのだなあ、とも思った次第。
同じポジションには大田区出身と言う事で贔屓にしている阿部巧君もいるのですが、高いレベルで競争しあってトップに上がって欲しいものです。




チーム事情もあってのことか、本来のポジションはFWとの事ですがこの日はボランチの位置でプレーしていた山崎君。
ただ彼はFWの選手と言うこともあってか、ちょっとトラップが雑なところが目立ちました。
ボールがピタッと止まらないので、相手に寄せられてその後のプレーが窮屈になる。
その結果ミスが多くなり、試合が落ち着かない。

彼に限らず、この日出場していた選手のほとんどは、相手との位置関係やその後のイメージを踏まえて、自分のその後のプレーにすんなり繋がる場所に確実にボールを留めるという基礎技術については、まだ全く発展途上だなと思えます。

よくテレビなどでプレミアなどの試合を見ていても、また東京とガンバや鹿島・浦和との試合を比べてもそうだと思いますが、もっとも差が在る技術はトラップであるとワタクシは思います。
昨年ワタクシが大好きだった岩渕君は、脚にボールが吸い付くようにいとも簡単に難しいボールを留めてしまう部分が最も印象に残っています。その技術があるからこそ、彼のシュートやパスは正確なのだと思ったものでした。
ボールを自分のイメージする場所に確実に留めることで、その後のプレーの正確性や判断の余裕などもかなり違ってくるように思います。

この日見た選手たちはとにかく攻守によく走って、攻撃も守備もしっかりするという部分ではトップチームと遜色ないように思う部分も多いのですが、やはりそういった基礎技術をもっともっと磨かなければいけないのだろうな、と思う部分が正直なところより大きいですね。

まだまだ、彼らの一年は始まったばかり。


ぐんぐんのびて、トップチームで彼らの活躍を見る日を夢想しながら、今年もちょくちょく彼らの躍動する姿を見に行こうと思います。

0 件のコメント: